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No nukes! Niigata!

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2012年 01月 16日

『世界史の中のフクシマ』 by 陣野俊史さん

本屋の新書コーナーでこの本を見つけ、そのタイトルに思わず「ジャケ買い」ではなく「タイトル買い」してしまいました(買ったのは、本屋ではなく、インターネットを通してなのですが・・・)。
以前に著者の好著『ヒップホップ・ジャパン』を読んだことがあり、そういった経緯も購入に弾みをつけました。

本の帯でも引用されている部分ですが、以下に引用します。

『世界史の中のフクシマ』 by 陣野俊史さん_d0235522_22202540.jpg・・・私たちこそが「99%」なのだ。誇りや尊厳を毀損され、沸々とした怒りを抱えている存在、indignesなのだ。きっとそうだとは思っていた。自分がその外部にいるとは思っていなかった。余計な断りを入れておくと、ここで私の言う「indignes」は経済力とは関係ない・・・
そして、福島第一原子力発電所の未曾有の事故以後、民意が脱原発へ傾いているにもかかわらず、「再稼動」に踏み切る(しかも同年十二月には定期検査に入って再び運転を停止する以上、「再稼動」だけが目的であり、既成事実の積み上げが狙い)「1%」の、その狂気はどうやら本物らしい。
なんとかしなくちゃ。そのために、この本を書いた。(p-200/201)


本書は著者の強い思いが反映されたエネルギッシュな内容になっています。
著者の出身地であるナガサキからフクシマへ至る、主に文学についての話。ラッパーは「言葉は平等だ」ということを知っている(p-9)、福島のラッパー狐火のインタビューを始めとしたラッパーたちの反応について。そして「尊厳を傷つけられた人(々)」(p-178) = indignes をキーワードに、2011年の世界的な民主主義の動きと福島を結び付けていく試み。

私は本を読み進めるうちに、詩人金子光春の「おっとせい」を頭に思い浮かべていました。

・・・だんだら縞のながい影を曳き、みわたすかぎり頭をそろへて、拝礼している奴らの群集のなかで、
侮蔑しきったそぶりで、
ただひとり、
反対をむいてすましてるやつ。
おいら。
おっとせいのきらいなおっとせい。
だが、やっぱりおっとせいはおっとせいで
ただ
「むかうむきになってる
おっとせい。」


全く脈絡がないのですが、本書を読み進めるうちに、どこか「むかうむきのおっとせい」が、どうしてもたくさん必要なように思えたのです(笑)。

拙い紹介となりましたが、ぜひ本書を読んでみてはいかがでしょうか。

『世界史の中のフクシマ』 陣野俊史、2011年、河出書房新社。

(by Ben 10people10color)

by nonukes_niigata | 2012-01-16 22:58 | 2012年1月コメント


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