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No nukes! Niigata!

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2011年 07月 23日

「巻原発・住民投票への軌跡」

「巻原発・住民投票への軌跡」_d0235522_126498.jpg「巻原発・住民投票への軌跡」(桑原正史さん、桑原三恵さん、七つ森書館)を読了しました。
少し前になるので、的外れとなり参考になるか分かりませんが下に感想を記します。

なお、本書は少なくとも新潟市の幾つかの図書館で閲覧が可能です(詳しくはこちらで検索ください)。

巻原発建設計画の反対運動に関わられた桑原正史さん、三恵さんにより、全体を通して非常に分かりやすい言葉で綴られた本書は、ページ数の割にスムーズに読むことができました。
なお、「こうすれば原発計画は撤回できる」、「こうすれば(特に3.11以降の状況で)脱原発が実現できる」、本書にはそういった意味合いの参考書的性格はあまりないと思います。
むしろ、それは新潟県旧巻町(現新潟市西蒲区)のケースだった、と理解するのが正確であると私は考えます。
約30年に渡って続けられた、思いが紡がれ続けそれが大いなる実りとなった、巻原発の反対運動。
計画撤回という結果は、長きにわたり反対運動に対して明確な思いを持って非常に粘り強く関わられた方々の、おそらくは筆舌に尽くし難い、数々の苦難を伴う大変な行動の賜物なのだと思いました。反対の運動には(推進もまたそうかも知れませんが・・・)こうしたら良いという明確な方法などはきっとないのだろうと思います。それが故に、どのようにしたら他者の関心を呼び込めるのか、どうやったらこの問題を身近に感じてもらえるのか、どうすればみんなで反対を唱えられるのか、が非常に大切な焦点となります。なぜなら、原発の問題は特定の人々だけに関わる問題ではなく、市(町)民全体に関わる問題であり、反対にあたっては市(町)民全体で反対を唱える必要があるからです。本書では、これらの思いに注がれた大変な量の情熱と努力について、全体を通して汲みとることができ、それは目を見張るものがあると思います。そうであるが故に、正に本書から今現在の私たちが参考とすべきものが非常に大きいのではないかと思います。

私は、一個人として、本書を読むことを強くおすすめしたいと思います。

地域に、生きてきた/生きている/生きていく、こと。特に3.11以降このことについて私たちは考えずにはいられないのではないでしょうか。その考えを推し進める作業の中で見えてくるものは、同じ思いを共有できる人々が同じ地域に存在していることの認識/発見、たとえ同じでなくとも意見を表示することの大切さの再認識、地域の持つ人々や自然の特別性の再発見、などではないでしょうか。それは地域で、これまで私たちの祖先が生きてきた、今現在私たちが生きている、これから私たちの子どもたちが生きていく、ことに確実に繋がっていくのだと思います。
本書を読み進めていく中で、反対行動やたくさんの人々の様々な思いを垣間見る中で、これらについての示唆を与えられた気がしています。

(by Ben 10people10color)

by nonukes_niigata | 2011-07-23 02:08 | 2011年7月コメント


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